・ハンガリー紀行・

2002年10月5日(土)〜11月1日(金)ハンガリー・フュゼシュジャルマトでの個展にあわせて、10月2日からウイーン経由でハンガリーに行ってきました。
出かけたのは、私渡辺美香子と夫、小二の娘、そして夫の妹の計4人。

10月2日早朝自宅を出発。10:50発のオーストリア航空で11時間でウイーンに到着。
ウイーンからは、天井に頭がつきそうな小さなプロペラ機・チロリアン航空に乗り換え、ハンガリーの首都ブタペストへ。ウイーンからブタペストまでの飛行時間は30分程。ホントにあっという間の近さです。

               翌日はブタペストを観光。昼間は中央市場やヴァーツィ通りで買い物をし、夜は有名な夜景を見にドナウ川へ。中央市場は1階が生鮮食料品で2階が民芸品などのおみやげ物屋さん。地下にはスーパーもあってここだけで一日楽しめそうなところ。

 
夜景はさすがに有名なだけあって、寒さにくじけそうになったけど見る価値充分の美しさでした。


さて、3日目はいよいよ個展会場のフュゼシュジャルマトへ。
乗り換え時間1時間を含め、約4時間の列車の旅。
コンパートメントの車窓には見渡す限りの平原!向こうの方にかすかに木々や林、広大な畑の中にぽつりぽつりと木々に囲まれた家が点在・・・こんな風景が実際にあるんだ〜!と感激にひたりながらしきりにカメラのシャッターを押す私。でも押した瞬間に線路際の木に画面を遮られ、なかなかうまく撮れなくて何度も悔しい思いをしました。

 


前方にオレンジ色の屋根がたくさん見えてきたな、と思うと駅。平原の中に町が点在しているという感じです。
インターシティが走る本線から乗り換えた支線は単線。
しかも駅はかなり小さくなり、こんな田舎で個展などしてほんとに人が見に来てくれるんだろうか・・・とどんどん不安がつのります。
でも、窓の外は、花の時期にはどんなに素晴らしいだろうと思われる一面のひまわり畑。
この風景が見られただけでも来た甲斐があったというものだわ、と気を取り直して、いよいよフュゼシュジャルマト駅に到着。

            

列車から降りるとすぐ横に、主催者の方からの手紙を携えたおじさんが車で迎えに来てくれていて、周りの情景もよくわからないまま車に乗り込み会場へ。
駅前といってもお店やロータリーがあるわけでもなく、信号もない道を走ること約5分。素敵な建物に見とれているうち、インターネットで見覚えのある日本博物館に到着。
そこで今回の個展を企画主催してくださった方々がにこやかに私たち一行を迎えてくださいました。
今回の個展は、インターネットで私のHPを見て気に入ってくださって実現したもの。連絡ややりとりもメールと電話と郵便だけだったので、内心ドキドキ。実在していてよかった〜、というのが実感でした。



会場内は、お箸や刀、折り紙やお琴など日本文化を紹介する展示物や親交のあった黒沢明氏や三船敏郎氏の紹介やゆかりの品などが展示されています。お庭は獅子脅しなどもある日本庭園。塀の向こうに教会が見えています。
私の作品は奥の細長いギャラリースペースに。色鉛筆画15点、ミックスメディア版画3点、エッチング+手彩色1点、シルクスクリーン版画4点、の計23作品とカレンダーとポストカード19点。郵送の都合でマットだけでの展示です。

        

その日は、新聞社2社のインタビュー。ひとりは地元の記者の方で翌日にはすぐ新聞に載せてくださいました。もうひとりは全国紙の記者で作家の方で、とても熱心に見て気に入ってくださり、私の絵を題材に何か作品を書いてくださるとのこと。ハンガリーの郊外に引っ越してきて絵を描いてはどうか、と勧めてくださいました。



フュゼシュジャルマトの町は広い道路の両側にかわいい家が建ち並び、それぞれの家の奥には農作業で使う馬車がいて、町の中も馬車がのんびり行き交っています。

 


数十年前に温泉が、ごく最近には石油が見つかったとかで、昔に比べ町は潤っているそうなのですが、そんな華やかさは全くなく、みんな地に足のついたしっかりとした生活を営んでいるようにみえました。

           

会場からホテルまではメイン道路沿いに片道約25分。タクシーなどない町なので、滞在中は毎日、周りの家々の写真を撮りながら気持ちのいい散歩を楽しみました。

 



翌日は午後2時からオープニングセレモニー。
それに先駆け地元のテレビのインタビュー。併設された日本庭園の中、町の印象など聞かれました。

           

始まる直前、娘さんもどうぞ、と一緒に並ぶことになり、娘はもうパニック状態。そのおかげで(?)私は反対に冷静でいることができました。(とはいうものの、通訳をアテにしてかなりいい加減な日本語で答えていた私。日本語のわかる人が見ていないことを祈るばかりです。)

そうこうしているうち、いつの間にどこからこれだけの人が集まってきたのかと思う程の人、人、人・・・
美しい国会議員の女性、隣町の美術館の館長さん、町にあるプレスビテリアン教会の牧師さんご夫妻、文化局の方、選挙中の市長候補の方・・・など、著名な方々を始め、ハンガリー日本架け橋協会の方々や近隣の町の人たち、そして子供達・・・

 


セレモニーはそれらの方々の挨拶と私のつたないハンガリー語の挨拶で始まり、私には花束、娘には何人もの小学生から両手いっぱいのお菓子をいただき、がちがちに緊張していた顔も思わずにんまり・・・!
地元のおばさん達は身振り手振りに、よかったよ、と伝えてくれ、サインなど求めてくださったりして、みなさんとても好意的。
娘もみんなに頬をさすってかわいがられ、はずかしがっていました。
ただ、ハンガリー語はもとより英語も苦手な私は、話しかけられても答えるすべを知らず、ハンガリー語は主催者に、英語は夫と義妹(プロの通訳者)の通訳に頼るばかり。簡単な英語くらいはしゃべれるようにならなくては、と痛感した次第です。

会場では日本のお菓子などが供され、私が持参した堺のおせんべいも大好評。
日本に興味のある男子大学生のさまざまな質問には義妹が丁寧に答えてくれ、さすがプロと感心しました。

そんなこんなで初日は思いのほかの大盛況で、道中の心細さはすっかりふきとび、すっかり安心。やれやれとホテルまで4人で歩いて帰りました。



フュゼシュジャルマト滞在3日目は、前日パーティ会場で招待してくださったプレスビテリアン教会に伺い、洗礼の儀式に参列。終了後、教会内を見学させて頂き、娘と夫はパイプオルガンも弾かせてもらいました。



午後は、主催者のご実家でベーコンのバーベキュー!ベーコンの固まりを枝にさし、火にあぶって出てきた油をパンに塗って食べるという野性味あふれるものなのですけど、そのおいしいこと!肉はほとんど脂身なのですが、真っ黒な油も塩味が利いてるし、ベーコン自体もとてもおいしい。それにつけあわせた生のパプリカがまたおいしくて、(ハンガリー料理はパプリカが特徴で何にでもたっぷりパプリカを使用。見た目はオレンジ色なのですが全然辛くはなく、風味豊かです。)さくさくとまるでくだもののよう。白いパプリカが肉厚で特においしく思いました。

            

また、庭には、自家製ワインを作るブドウやリンゴ、かりんなどがいっぱいなっていて、娘はさっそくブドウ狩りにリンゴ狩り。
大人は度数の高い自家製ワインですっかり上機嫌。
隣のお家では豚やにわとりがが放し飼いされていて、こんな風に自然に育っているからお肉もおいしいんだなぁ、と妙に納得。観光旅行では体験できない、とても楽しい一日でした。ご招待いただいた主催者のお母様に感謝です。


旅行6日目。早朝フュゼシュジャルマトを出発。
駅では駅員さんに英語が通じず、夫は切符を買うのに片言のドイツ語で悪戦苦闘。私はといえば、そんなことお構いなしにのんびり駅周辺の写真など撮っていました・・・。ホームでは、パーティの時おいしいパイを届けてくれた地元のお菓子屋さんのおじさんが、美しい絵だった、と声をかけてくれ、あー、ここで個展したんだなぁ、とつくづく実感。

そうこうしているうちに列車が到着。プラットホームなどない駅なので、重いスーツケースがなかなか持ち上がらず、またまた悪戦苦闘。すると、さっきのおじさんが腕廻り50cmくらいはあるかというたくましい腕でヒョイと持ち上げてくれ、なんとか乗車完了。
思い出いっぱいのフュゼシュジャルマトの町を後にした私たちでした。

                     



その後は4日ぶりのブタペストに戻り、午後は再び市内観光。
夕暮れから夜にかけてを王宮の丘で過ごし、ライトアップされた幻想的な街を散策。マグリットの絵みたいな建物に見とれたり、宝石をちりばめたような街のあかりに感嘆したり・・・。光に輝く石畳もまた格別の趣があって、歴史の重みをひしひしと感じました。

 



7日目はハンガリーからオーストリアへの移動。
待ち時間を余分に取ったせいで思ったより時間がかかり、飛行時間はたった30分ほどなのに結局それだけで一日つぶれてしまいました。

8日目はウイーン市内観光。
美術史博物館では建物の豪華さに圧倒されっぱなし。建物自体が美術品という感じで、よくこれだけのものが造れたものだなぁ、とただただ驚くばかりでした。

            

街の建物もブタペスト同様、普通のビルでもそれぞれに彫刻が施されていたりしてとってもデコラティブ。ひとつひとつの建物がかなり個性的なのに街全体がしっくりまとまっているのはやはり素材が同じ石だからなのでしょうか?

そして9日目。あっという間ハンガリー・ウイーンの旅に別れをつげ、一路関空へ。
10日目早朝なつかしの大阪へと帰ってきたのでした。


<ハンガリーの印象>

人・・・・基本的にみな親切であたたかい。
駅や売店でもていねいに対応してくれる。
若い女性はスタイルが良くきれいな人がとても多い。

食べ物・・・パプリカ!パプリカ!生で香辛料としてとにかく多用されている。
ベーコンがとても美味。料理は全般的においしいが一人前の量がとにかく多い!

建物・・・都会の建築物は重厚な石造りで装飾などかなり凝っていて長く受け継がれてきた歴史を感じる。が、至る所に落書きが見られ、壁がはがれたままの建物も多く、やや雑多なかんじ。
田舎の民家も百年くらいたっていたりするようだが、それぞれ表情豊かでとても素朴でかわいく味わい深い。
いずれも一件一件意匠が異なっていて見ていて飽きないのに、全体ではしっくりまとまっていてあたたかな印象。調和がとれている。

物価・・・通貨はフォリント。1フォリント=0.5円くらい。
交通費は安く、食事や喫茶も安い。書籍雑誌類はやや高いか・・・

交通・・・ブタペスト市内は、地下鉄、トラム、トロリーバス、バス・・・が縦横無尽に走っていて、一日乗り放題のチケットを買えば、改札もなく自由に乗り降りでき、ほんとに便利。ただ、地下鉄のチケット売り場はどこともに窓口ひとつにおばさんひとりで、いつも長い列ができている。みんなそれで慣れているのかさほど焦る様子もなくきちんと並んで待っている。自動販売機は一回券のみのよう。改札がなくてもちゃんとみんな切符を買っているのだろうか・・?検札でつかまると罰金がえらく高いらしいけど。




以上、渡辺美香子のハンガリー旅行記でした。


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